未経験者が人事労務担当になった場合、担当して初めて退職者が発生したら何をどうすればよいのか困るのではないでしょうか?退職時には必要な手続きが多く、退職手続きのマニュアルの準備が無い場合は、手続きに抜け漏れが発生して退職者に迷惑をかける恐れがあります。人事労務の初心者でもしっかり対応できるよう、この記事では退職手続き全体の把握および会社での対応が必要な項目について説明します。退職手続きにはどのような項目があるのか?この章では退職が決定した後に必要な手続きについて解説します。必要な手続きは以下の通りです。厚生年金・健康保険の資格喪失手続き雇用保険の資格喪失手続き住民税の手続き源泉徴収票の発行退職手続きに必要な情報とは退職手続きを行うにあたり、事前に退職予定の従業員に確認すべき項目がいくつもあります。退職後に連絡が取れなくなり、困ってしまった…ということが無いように、退職が決まったらすぐ本人に確認することがポイントです。退職日申請された退職日と本人の認識が異なっていないかを確認します。例えば、転職先に4月1日付入社予定で本人は3月末退職と思っていたが、会社に提出された申請では誤って3月30日で申請していた場合、3月30日の退職と3月31日の退職とでは社会保険料の取り扱いが異なります。3月30日付で退職した場合3月分の社会保険料は給与から控除しません。よって、3月31日の1日のためだけに自身で国民年金や国民保険の加入手続きと脱退手続きをしなくてはなりません。こんなはずじゃなかった…と後から困らないように、互いの認識を確認しておきましょう。退職理由ここでいう退職理由とは「自己都合」「契約期間満了」「会社都合」などのことを言います。離職票を発行する際に退職理由を記載する必要があるので、本人の認識と齟齬が無いようにします。最終勤務日有給休暇を消化してから退職するケースがよくあります。従業員本人が認識している有給休暇の残日数と正しい有給休暇の残日数の認識が異なっていないかを必ず確認し、最終出勤日を確認します。この確認を怠ると、最悪の場合、有給休暇の残日数が足りないまま休んでしまい欠勤となります。当然、欠勤すると給与から欠勤控除を行う必要があります。本人の認識がないままに給与から欠勤控除がされていることで、後日トラブルにつながる恐れがあります。離職票発行の要否離職票は「失業手当(失業保険)」を受け取るときに必要な書類です。退職後に再就職が決まっている場合、会社側は離職票の発行は不要で、雇用保険資格喪失の手続きだけで問題ありません。但し、再就職が決まっていても離職票の発行を希望する方もいますので、本人の要望に沿って対応しましょう。万が一、離職票発行の要否を事前に確認することができなかった場合は、離職票の発行手続きをしておけば間違いありません。退職後の住民税の徴収方法住民税の特別徴収(給与から住民税の天引)をしている場合は、普通徴収(個人で納付する)にするのか、転職先で特別徴収を継続するのかを確認します。それぞれで必要な手続きが異なるためです。本人もどうすればよいのか分からない場合は、普通徴収に切り替えておきましょう。普通徴収に切り替えた場合でも、住民税の納付書が届いたら、本人が転職先に提出すれば特別徴収に切り替えることができます。退職後の連絡先人事労務担当者は、従業員が退職した後も離職票や源泉徴収票などの書類の送付のため本人とやり取りをする必要があります。退職後に引越しを行う人もいますので、必ず退職後に確実に連絡が取れる情報(住所、電話番号、メールアドレス)を確認しておきます。あわせて、退職者が会社に問合せを行う場合の連絡先もお知らせしておくことをおすすめします。退職手続きに必要な情報を簡単に集める方法会社が退職する従業員に確認するべき事項は多岐にわたります。五月雨式に本人に確認するとお互いに負担です。退職手続きに必要な情報を漏れなく確実に集めるために、Googleフォームを活用して本人に情報を入力してもらえるような「退職手続き連絡フォーム」を作成することをおすすめします。Googleフォームが利用できない環境の場合は、WordやExcelなどで「退職手続き連絡フォーム」のひな型を作成し、本人に記入してもらうのもおすすめです。手続きごとの申請タイミングと申請先次に、手続きごとの申請タイミングと申請先を説明します。厚生年金・健康保険の資格喪失手続き退職日の翌日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を年金機構と健康保険組合に提出します。手続きを社労士に委託している場合は、社労士に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」の提出を依頼します。マイナ保険証が無く資格確認書を発行している退職者については、退職日の翌日以降に本人から返却してもらい、会社から健康保険組合(または年金機構)に返却します。雇用保険の資格喪失手続き退職日の翌々日から10日以内に管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。離職票が必要な場合は「雇用保険被保険者離職証明書」も提出します。手続きを社労士に委託している場合は、社労士に届出を依頼します。離職票が発行されたら本人に送付します。但し、本人が離職票をマイナポータルでの受け取りを設定している場合は、会社から本人への送付は不要です。住民税の手続き転職先で特別徴収の継続をする場合は、「給与支払報告に係る給与所得異動届書」を作成し、本人がそれを転職先に提出し、転職先にて本人の住民票登録地の自治体に提出します。普通徴収に切り替える場合は、退職日以降に「給与支払報告に係る給与所得異動届書」を作成し、本人の住民票登録地の自治体に提出します。手続きを税理士等に委託している場合は、「給与支払報告に係る給与所得異動届書」の作成を依頼します。源泉徴収票の作成・発行当該年分の源泉徴収票は、退職から一か月以内に作成し、本人に送付します。なお、源泉徴収票は正社員だけでなく契約社員やアルバイトに対しても作成が必要ですので、忘れないようにしましょう。給与システムを使用している場合はシステムでの作成・発行が可能ですが、給与計算を社労士に委託している場合は、源泉徴収票の作成について社労士に問い合わせてください。まとめ退職手続きは手続き自体が多岐にわたり、また必要書類の提出先も複数あるため、人事労務担当者は全体を把握する必要があります。この記事では、退職手続きをスムーズにするためのポイントについて説明してきましたが、自分でチェックリストを作成するなど工夫して、手続きに抜け漏れがないよう慎重に進めましょう。